2011.12.13 Tuesday


 それは12月の初め

仕事上のお客様を多く呼んでの仮面舞踏会での出来事




まずはシャルロッテ様がいらっしゃらないことに気がついた

はじめは「また……」と、 「いつものこと」と思い、
離れの中で思いつく場所のすべてを探して回った


寝室

バルコニー

クローゼット

納屋まで探した


けれど…


シャルロッテ様はどちらにもいらっしゃらなかった




続いて気がついたのは、ハリーが居ないこと

彼ならシャルロッテ様の居場所を知っているのでは…と思い
彼を探したけれど、彼もまた どの持ち場にもおらず

マックス様にご報告してすぐ屋敷中を駆けたけれど

二人はついに見つからなかった




次に二人の顔を見たのは、すべてが起きた後のこと




シャルロッテ様は、凛とした表情でパーティー会場に現れ

後でスヴェンさんから聞かされたのは驚くべき内容だった



ハリーはといえば……

しばらく経ってから離れのどこかからフラフラと
すこし青い顔で出てきたのだけれど

何を聞いても多くは語ろうとしなかった



そして私も… …いえ、そこからは館中がその件への対応で慌しくなり

ハリーにはもうあまり深く問い詰めてはいけないような気もしたのでやめた




スヴェンさんから聞いた、例の件のお相手…

ロンズデール子爵――

…パーティー会場で呼び止められ、テラスにご案内した彼?




兎角、今回のことは私にはわからないことが多い


それでも、いつものことなら

私にはわからずともマックス様とスヴェンさん、

あのお二人が把握していらっしゃればそれでよかった



それが今までのすべてだった



私はシャルロッテ様のおそばで身の回りのすべてのお世話をし、
お二人がシャルロッテ様の未来をさがす――


そのはずだったのに





初雪がちらつく窓の外をぼんやり眺めるハリーの横顔を見ると
いつもそこに在ったシャルロッテ様の横顔に重なり、また胸が痛む

これは、喪失感?

不安?



「シャルロッテ様……」



窓の外には、今年初めての白い雪が舞い始めていた
By 侍女・ヴェラ | Time : 00:14 | CM : 0 | TB : 0
2011.12.04 Sunday


……!!!


ふっ と目が覚めて、見慣れてきた天井にはっとする

「シャルロッテ様…?」



そこに居ると感じた訳でも、

夢の中で見た訳でもないのに、

口からその名前がこぼれた。



シャルロッテ様の付き人
―というこの職務に 少し疲れているのかしら? と一人苦笑して

窓から差し込む日差しの方角を確認する



日はそう高くなく、窓の外もまだ薄暗い。

6時よりは前―― …5時前後かしら。




ベッドから起き上がり、ひんやりとした床に足を降ろす。


いつもより早いけれど、今日は仮面舞踏会の日。

そろそろ本邸会場のお支度を始めましょう。


そうそう… 本邸パーティーが開かれることは、
くれぐれもシャルロッテ様のお耳に入ることがないように注意を払わなければ。

シャルロッテ様には、”いつもと変わらない 冬のとある一日”を過ごしていただきます。

それがシャルロッテ様の幸福、

それがマックス様の幸福なのですから……。




私はお二人の日常が ”日常”のレールから外れぬよう

シャルロッテ様をすべての悪夢からお守りいたしましょう
By 侍女・ヴェラ | Time : 00:47 | CM : 0 | TB : 0
2011.11.19 Saturday


 ずっと恋しがっていたマックス様と再び暮らしを共にするようになっても
シャルロッテ様はどこか心が休まらないご様子

いえ…

同じ邸内に居るからこそ
マックス様の姿が見えないことが余計気になるのでしょう

先日はハリーにまで、あんなことを……




窓の外のバラ園を虚ろな眼差しで眺めたまましきりに仰られるのは

「外へ出たい」
「お兄様に会いたい」
「お兄様はなにをしているの?」

―それをなだめては癇癪を起こされ、食事を拒否され、入室さえも拒否される

また其の繰り返し……




正直なところ、他の誰より一日の長い時間を共にしている私でも
なにがシャルロッテ様にとってのベストなのかはわからない。

そしてそれを考えることは、私の仕事ではない。

恐らく、

今マックス様とスヴェンさんが
このエグレッタ・サクラで必死に探しているもの…それが……

………しかし、それがまたシャルロッテ様の孤独を深めているようにも…



…!!!



突然聞こえた、陶器の割れる音と

また…と思い、踵を返しシャルロッテ様の部屋へと向かう



――マックス様……。


お探し物は、

シャルロッテ様の心安らかな日々への鍵は、

一体何時になれば手に入りそうなのですか……?
 
By 侍女・ヴェラ | Time : 18:14 | CM : 0 | TB : 0
2011.11.12 Saturday

 
「失礼いたします。」


本邸から少し距離を置いたここの離れは、
限られたごく一部の使用人しか立ち入ることの出来ない、
エグレッタ・サクラの特別な領域。

エグレッタに長く使えている使用人であっても、
ここが何のために存在しているのか、
正確な理由は聞かされていない。


「シャルロッテ様、お食事をお持ち致しました。」


私の仕事は、この離れが存在する一番の理由――
当主マクシミリアン様の妹君、シャルロッテ様にお仕えすること。


「……

 いらないわ……」


今日もまた同じ返答が聞こえてくる。

そして私もまた、いつもと似たような言葉で
シャルロッテ様に食事を薦める。


―似たようなやり取り。

―似たような毎日。


それでも、こちらでマックス様と再び
暮らされるようになってからは
だいぶ落ち着かれたかしら…?


普通の使用人には任せられないこの仕事。

さあ、今日はまずお食事を口にして頂くことから始めなくては……

By 侍女・ヴェラ | Time : 07:12 | CM : 0 | TB : 0

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