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2009.07.04 Saturday
![]() お久しぶり、コゼットよ♪ ご機嫌いかがかしら? このエグレッタ・サクラに来て、4ヶ月が経とうとしています。 なんだか月日が過ぎるのは早いものねぇ… あら、いけないわっ! こんな事考えるなんて年をとったみたいじゃない! 今のは無しよ? 聞かなかった事にして頂戴! それにしても、 隣の女は相変わらずっていうか、タロット占いばかりしていて… ねぇ、ミネット。 私の話、聞いてるの?!もぅ! そういえば先日、マルグリート様のお父上。 ヴェルニエ伯爵様からお手紙が届いたの! その時の、マルグリート様の嬉しそうなお顔は忘れないわ〜 だって、 以前よりも頻繁にティーパーティーや夜会に行かれるせいか 少しお疲れのご様子だったもの。 華やかな所は大好きよ。 でも、マルグリート様の元気がないのは嫌っ! それともう一つ。気になることがあるの! マルグリート様、 最近忙しくなってから、マックス様と殆どお二人でお出掛けしなくなったのよ!? まぁ、 確かにマルグリート様には今までこれといった男性はいなかったけれども… でも、前まではあんなに一緒にいたのに…! そして、 今夜もまた、私とミネットはマルグリート様と共にパーティーへ。 「忘れ物は無いわね、コゼット。 …――コゼット?」 「ぁ…、大丈夫ですっ!」 「あら、そう? じゃあ行きましょう。 早く行かなきゃ相手がうるさいから」 「えぇ、もちろん♪」 馬車に乗り込もうとした瞬間、屋敷からほんの少し、違和感を感じたの。 私の気のせいかしら? ねぇマルグリート様… マルグリート様は、マックス様にすら本気では無いの? 2009.07.03 Friday
スヴェンが去った後の扉を見つめる 報告は「マルグリート様の元へ、ヴェルニエ伯爵公からお手紙が届いた模様です」 というものだった まさか、気付けれたか―――と、一瞬危惧もしたが 未だ微動だにせず指示を待っているスヴェンから 事態の急変は伺えない ―――ヴェルニエ伯爵 マルグリートの父君にて伯爵家当主 勤勉で学生時代には博士号を取得 優しく穏やかな性格でありながら、人の本質を容易に見抜くキレ者 久しぶりの父君からの手紙に、マルグリートもさぞ喜んでいるんだろうね そして、その手紙と同時に届いた大量のラブレターの内容も面白そうだ 誰も居なくなった部屋で一息ついて、椅子に深く凭れた時 馬車が停まる音が聞こえた 窓から外を見下ろすと、着飾ったマルグリートと双児が馬車に乗り込む 今宵は、何色の封筒で送られてきたラブレターの主と過ごすんだい? 「マルグリートが出掛けたんなら、執事クンでも呼んで遊ぼうかな」 テーブルの上にあったベルに手を延ばし、僕は笑った 欲しい物はもう此処にある だから、愛しい愛しいマルグリート 君が去っていく後ろ姿を 僕にもっと見せて 2009.07.02 Thursday
![]() ああ、何もなくてつまらないわ。 館の主として華やかなデビューを飾った私だけれど、 最近周りが色々とうるさいの。 パーティやお茶会のお誘いも最近は何だか気乗りがしないわ。 とは言っても、呼ばれればもちろん行くけれど。 だって、私の相手はあの人以外にもたくさんいるもの。 私を楽しませてくれるのなら騒がしいのも大歓迎だけれど、 うるさすぎるのは、イヤ。 この屋敷の騒がしさは・・・何だか面白そうな、嫌な予感がするの。 あら、リュシアンどうしたの? ねぇ、こっちにきて私の相手をしてちょうだい。 貴方のそのストイックな所、気に入っていてよ。 やだ、そんなお世辞を聞きたいわけじゃないの。 え? お父様から? まぁ何のお手紙かしら・・・ わかったわ、ありがとう。 もう下がって。 静かに扉が閉まると、部屋の中に控えていた双子のコゼットが 私の足元に座り込んで可愛い瞳で私を見上げた。 なに?コゼット。 貴方もこの手紙がきになるのかしら? ゆっくりと、手紙を開くどきどき感を楽しみながら 送り主のお父様の事を思い出す。 ああ、優しくてとても紳士なお父様。 可愛らしくて自由奔放なお母様に振り回されても嫌な顔せず、 仲のよい夫婦。 そういえば昔お父様はチャールズ伯父様や、アルフレッド伯父様、 そしてパピヨンの執事アルマンの学生の頃のお話を お母様に話していたかしら? ふふ、お父様の学園生活はさぞかし楽しかったのでしょうね。 特にチャールズ伯父様には振り回されていたんじゃないかしら? 人がとてもいいから頼まれ事も断れない可愛そうなお父様。 ねぇお父様。 私、お父様が大好きよ。 椅子に座る私の膝にちょこんと顔を乗せて 下から見上げてくるコゼットの柔らかい髪を撫でる。 コゼット、顔をよく見せてちょうだい。 その私のお母様とよく似た愛らしい顔を・・・ 2009.07.01 Wednesday
![]() マルグリート様がエグレッタ・サクラへいらしてから、 屋敷へ届く手紙の数は驚くほどに増えました。 パーティーや舞踏会のお誘いや・・・ もちろん、殿方からの恋文も。 とはいっても・・・ 手紙が増えた原因は、派手好みの愛人によるところも大きいのでしょう。 こちらも、呆れるほどの数の恋文が届くのですが、スヴェンが抜き取っていくのは、ほんの数通のようです。 『女はいかに長い文であっても、 手紙の最後にしか、自分の親密な思いを語らない。』 とは、よく言ったものですね・・・。 さっさと要件だけ書いてくれればいいものを。 ・・・・おや? この刻印は・・・・ヴェルニエ伯爵家当主のもの・・・ 直ぐにマルグリート様へお届けしなければいけませんね。 2009.03.27 Friday
![]() おやおや、あそこに見えるのは、フットマンのカミーユと、メイドのヘイリーだね。 こんなにひとけのない場所で二人きりなんて、ちょっと怪しいよねぇ・・・ たしか、エグレッタって、使用人同士の恋愛は禁止だったはずだけど・・ あのリュシアンが見つけたら、どうなることやら・・・ さあ、のぞいてみようか? ------------------------------- ああ、まだかしら。 まだいらっしゃらないかしら? こんなところで誰かに見つかってしまわないかしら? ハウスメイドのヘイリーは、もう随分と前から、 バラ園のベンチの前で、立ったり座ったりを繰り返していた。 とっくに来てもいいはずの待ち人は、なかなか現れない。 仕事中に持ち場を離れることは、かなりのリスクをはらんでいた。 しかし、休憩時間や仕事が終わる夜では、他の使用人たちの目に付きやすい。 庭師のアレクを除いて、日中に人の出入りが少ないバラ園で会うことを提案したのは、カミーユであった。 こうして待っている間にも、愛しい人に会える嬉しさと、誰かに見つかってしまうのではないかという緊張が、どんどん高まっていく。 外に聞こえてしまうのではないかと思うほどの胸の鼓動に、ヘイリーは大きく深呼吸を繰り返した。 すると、近くの茂みが揺れ、背の高い人影がヌッと現れた。 『ごめん!!ヘイリー、遅くなって・・随分、待った?』 かなり急いで駆けてきたのだろう。 まだ息が荒い相手に、ヘイリーはニッコリと笑って首を横に振る。 「ううん。私は大丈夫。でも、カミーユさんは大丈夫だったの?」 その笑顔にカミーユはホッとしたような笑みを浮かべてから、肩をすくめてみせた。 『ああ・・今日は朝から大忙しだよ。』 「あら!ごめんなさい!!」 口元に手を当ててわびる相手の慌てた様子を、フットマンが微笑ましく見つめる。 『いや・・少しは息抜きをしないと・・』 「ええ。あんまり、働きすぎて、身体を壊さないでね」 『ああ、大丈夫だよ。 それにしても、今日のリュシアンはいつにもまして、ピリピリしていて・・やれやれ・・・』 大きな溜め息をついて肩を落とした相手を、ヘイリーが心配そうに覗き込んだ。 確かに、新しい主の出迎えの後から、リュシアンは最高潮に機嫌が悪い。 もともと、機嫌のよいときが想像し難い男なのだが・・・ 「マルグリート様のことかしら?」 『それも、あるけど・・・ どちらかというと、マクシミリアン様のことかな。』 カミーユの確信をもった言い方に、ヘイリーが小首をかしげる。 「マクシミリアン様?」 屋敷へ到着したマックスを、執事の待つホールまで案内したカミーユは、初対面の二人の様子を思い出して苦笑した。 『ああ。あの二人は水と油だね。これから、大変だ・・』 ・・・ウぉっほんッッ!!!! 突然、背後から聞こえてきた大きな咳ばらいに、カミーユとヘイリーは弾かれたように振り返る。 『リュ、リュシアン!?』 「リュシアンさん!?」 二人の視線の先には、眉間に深く皺を寄せた執事が音もなく佇んでいた。 ゆらめく威圧的なオーラは、不機嫌というより、もはや殺気に近い。 「・・・随分、暇そうですね、カミーユ。 私が言いつけた仕事は、そんなに簡単でしたっけ?」 『あ、いや・・・・』 リュシアンが言葉の端々に棘を潜ませ、静かに歩み寄ってくる。 気おされて言葉を濁すカミーユを鋭い瞳が捕らえたまま、隣のメイドへ厳しい指示が飛んだ。 「ヘイリー!クローディアがあなたのことを探していましたよ。すぐに持ち場に戻りなさい。」 「は、はいっ!!!失礼致します!」 上司の登場に萎縮したヘイリーは、慌てて返事をして、屋敷の方へと走り出す。 『あ、ヘイリー・・!!』 「待ちなさいッ!!カミーユ。」 慌ててヘイリーの後を追いかけようとしたカミーユを、瞬時に白い手袋が遮った。 顔を向ければ、不機嫌の最高潮をとっくに通り越したらしいリュシアンが、有無を言わせぬ雰囲気でこちらを睨んでいる。 「・・・貴方には、やってもらいことが山ほどあります!ついてきて下さい。」 『あ・・・はい・・。』 返事を待たずに踵を返したリュシアンに、カミーユは大きく溜め息をつくと、トボトボとその後ろをついて行く。 (仕事中に持ち場を離れたこと・・・リュシアンが怒るのも無理はないよなぁ。 マクシミリアン様のことでピリピリしているのに、なお更、機嫌を損ねてしまった。) がっかりしたように肩を落としたフットマンが、前を歩く執事の本当の気持ちに気づくのは・・・・ いつのことやら。 |
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